『しょーびき餅』

◆『しょーびき餅』とは


▲焼いた切り餅と、焼き鮭を用意します。

▲鮭をほぐし、切り餅に挟んだりします。

一、茨城県の県西・県央地域の一部の家庭では、正月三が日の朝食は『しょーびき餅』を食べます。塩引鮭がなまって『しょーびき』となり、餅と合わせて『しょーびき餅』となったようです。地域や家庭によっては『しょーぴき餅』『しゃけ餅』『塩引餅』『鮭餅』『はしゃぎ餅』とも言うそうです。
二、切り身の塩引鮭を焼いて、そのほぐした身を、焼いた切り餅と一緒に食べます。餅に挟んだり、押し付けたりして食べます。
三、塩引鮭は、お歳暮でいただいた荒巻鮭の切り身が最適です。餅は切り餅で、年末に餅をつき伸しておいた餅を使います。
四、正月三が日の朝食は、お雑煮は食べません。おせち料理も出しません。納豆や海苔も使いません。『しょーびき餅』のみです。
五、『しょーびき餅』は、普段炊事をしている女性に正月三が日の朝くらいは休んでもらうため男性が用意します。
六、焼いた塩引鮭は一人一皿に取り分けます。家によっては、焼いた切り餅を一升ますに入れ、神棚にお供えした後に食べます。
七、『しょーびき餅』は一説には、戦国大名として有名な佐竹氏家臣の正月膳の一つであったようです。


より大きな地図で しょーびき餅文化圏(調査中) を表示
▲茨城県の県央・県西地域に広く分布しています。

◆『しょーびき餅学会』とは
一、『しょーびき餅』の謂われや食文化圏の調査を行うと共に、伝統文化の再発見、保存を目指しています。
二、会員は、『しょーびき餅』を伝統的な食文化として継承している方及び趣旨を理解していただける方です。


◆茨城の風習
 茨城県では,家庭によって正月三が日は餅を食べずにうどんを食べる,または焼いた餅と塩鮭を一緒に食べるなど,めずらしい祝い膳がある。
 東北弁の元祖は,茨城弁,という説がある。常陸国の農民の次男・三男が土地を求めて北上し,狩猟民族と共存しながら 農地を広めつつ,言葉も影響を与えたのだというのだ。

◆参考資料
朝日新聞社、昭和57年7月25日発行の『週刊朝日百科 世界の食べ物日本編郷土の料理④茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉』の「盆、正月、祭りと食べ物」”に以下のような記載があるそうです。
*1佐竹侯治下の常陸領では、武士・郷士階級の長男には「一のヒレ」の「塩引き餅」が正月三が日にわたって供されたとのこと。”
20121123

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">