桜川流花見道

茨城王流 桜川のサクラの楽しみ方

※わかりやすさ、面白さを重視して書きますので、個人の主観が強調され、ところどころ極論になってしまうのはお許し下さい。

山桜とソメイヨシノ

 
桜川市は日本一の山桜の自生地です。といっても、ほとんど知られていません。もちろん知られていないにはわけがありまして、日本では桜といえばソメイヨシノ、お花見=「ソメイヨシノを見ること」になっているからです。なんと、日本の桜の80%はソメイヨシノなんですって。

長所:

見た目が華やか→園芸品種
同じ時期にいっせいに咲く
成長が早く管理が楽

短所:

寿命が短い
クローン種のため、基本的にどれも同じ
どこにでもある
一方の山桜は・・・

山桜

長所:

様々な色や形
ソメイヨシノよりも開花時期が遅い→花見時期が被らない

短所:

開花時期がばらばら
ソメイヨシノほどの華やかさはない
両方の特徴をイバラキング流にまとめますと次のようになります。

ソメイヨシノ:華やかでわかりやすい桜→ミーハー系
山桜:地味で味わい深い桜→マニアック系

人間の性格をミーハーかマニアックかに分けると、完全に中間という人は少なく、だいたいどちらかの傾向が強くなるはずです。これを桜に当てはめると、どちらかといえばミーハーな性格の人はソメイヨシノ派、どちらかといえばマニアックな人は山桜派とさせていただきます(笑)。

日本の桜の8割がソメイヨシノですし、いわゆる「花見」をするにはソメイヨシノの方が優れているかもしれません。
でも山桜にはソメイヨシノにはない良さがあることも事実ですし、イバラキング的にはどちらがいい悪いではなく、それぞれの特徴を把握した上で、それぞれにあった花見をすっぺ!と提案させていただきます。

桜川の桜は「マニアックな山桜派」ですので、必然的にマニアック系な花見となるわけですが(笑)、次に、桜川ならではの特徴もみていきたいと思います。

桜川の桜の特徴

自生しており、いっさい人の手が加えられていない
千年の歴史がある→「西の吉野 東の桜川」、紀貫之の歌、世阿弥の謡曲「桜川」
11種類の桜が国の天然記念物に指定されている
子孫が活躍している(隅田川、玉川上水、水戸の桜川)
一般には知られていない桜川の桜ですが、こうして見てみると他にはない桜川ならではの特色があることがわかりますね。
これは、いいかえれば、桜川でしか楽しめない桜の楽しみ方ができるということですね。

イバラキング流 桜川の桜の楽しみ方(実践編)

ステップ1:どうもすげえらしいどな

桜川の花見のスタートは実際の花を見ることではありません。
何の予備知識も持たない人がいきなり桜川の山桜を見たら、「なんか地味じゃねえ?」とか「どうもまばらじゃねえ?」なんて言い出しかねません。
桜川の桜はミーハーではなくてマニアックな桜なのですから、多少なりともウンチクを知っておく必要があるのです。
「昔は相当有名だったらしいよ」とか「実は千年の歴史があるんだって」なんていうところから始まって、メインは山桜なのだということを知り、さらに「山桜なのだからソメイヨシノほど派手じゃなくて当たり前」とか「山桜ならではの良さがある」というレベルに達した時点でお花見に出かけましょう!

ポイントは「とっておき」感です。
桜川の桜はまだ一般には知られていないとっておきの桜なのです。なぜ知られていないかというと、それはミーハーな花見客にはその良さがなかなか理解されないから。
その違いがわかっている自分→とっておきの桜を見る資格がある→なんとなく優越感・・・みたいな感じで行ってもらえれば(笑)。

ステップ2:ちがーのがいいんだどな

いよいよ花見本番です。
ここでもいきなり山へ行ってはいけません。この段階ではソメイヨシノと一緒に見て、ソメイヨシノと比較することが大切です。
これに最も適した場所は磯部桜川公園となります。
この公園は天然記念物の桜11種があることでも知られていますが、そういう珍しい桜だけではなく、しっかり抜け目なくソメイヨシノも植えられているのです。
はっきりいって一見しただけではソメイヨシノと山桜の違いはわかりません。私も最初は全然違う桜だと想像していたのですが、やはり桜は桜、結構似てるんですね。
山桜は地味でがっかり感があるかと思いきや、そんなことはなくて、私の感想は「なんだ全然桜じゃん!」という感じでした。でも注意して見てみるとやはりちゃんと違いがあるわけで、一瞬同じように見える桜も少しずつ違っていることを知ってもらえればばっちりです。

園内をじっくり見回ったら、桜川磯部稲村神社にも行ってみるとよいでしょう。元々はこの神社の参道が古くからの桜の名所ということで、公園として整備された歴史があるので、こちらの方が元祖なのです。

そんな感じで公園や神社を一回りする頃には、華やかにパッと咲いてパッと散っていくソメイヨシノもいいけど、それぞれに違いがある画一的でない山桜もいいもんだなぁと思えてくるはずです。

ステップ3:やっぱツウは山桜だどな

一見地味だけど、思ったより地味ではなかった山桜。もちろんソメイヨシノほどの派手さはないが、見た目がどれも一緒のソメイヨシノにはない、山桜ならではの魅力を発見したあなた。
そんなあなたにぜひ見てほしいのが里山の桜です。

山桜という名前からして、山にあって当然なんですが、桜川の場合、桜が自生している山が何箇所もあります。
その中で現在最もおススメなのが高峯山です。

高峯山は磯部桜川公園の北部にあり、山桜が群生しています。この山へは磯部桜川公園から徒歩で行くのがベストと言いたいところですが、1時間ほどかかりますので、時間と体力に自信のない方には少し厳しいかもしれません。
ただ、舗装された林道があり、頂上付近にちょっとした駐車スペースもありますので、車で行くことも可能です。
車の場合は、車2台がぎりぎりすれちがえるかどうかの道幅しかないので、運転にはくれぐれもご注意下さい。

高峯山の頂上付近には地元有志が作った展望台が設置されていますので、ぜひこの展望台から「ヤッホー」と叫んじゃってください(笑)。
周辺はピンクと緑のコントラストが素晴らしく、南方には加波山、その奥には筑波山もはっきりと見えます。冬、天気がいい日には富士山が見えることもあるそうですよ。
ここは同じ桜川市でも下界とは別世界です。桜の時期でも普段はそれほど人が訪れる場所ではありませんから、その瞬間はあなただけの「プライベート展望台」になっていることでしょう。・・・なんという贅沢!山桜LOVE!

わざわざ高峯山まで山桜を見に来たあなたはもう1人前の桜川ツウです。
あなたが体感した桜川の桜の素晴らしさをぜひあなたの周りの人に伝えてあげましょう。
でも、これだけ魅力のある山桜ですから、誰も彼もが訪れるようになって「とっておきの山桜」が台無しにならないかちょっと心配です。
ですので、あなたの「大切な人」だけにどうかじっくりとその魅力を伝えてあげてください。